「ワーケーションってなに?メリットはある?」
「ワーケーションって生産性本当に上がるの…?」
「ワーケーションをしてみたいけれど、仕事と旅行の切り替えができるか不安…」
ワーケーションとは、「旅先などで仕事をしながら休暇をとる」という働き方のことです。会社のオフィスや自宅ではない非日常的な環境で仕事をすることで、リフレッシュや生産性が向上するなどの効果があると言われています。
「ワーケーションは意味がなさそう…」と考える人も多いですが、仕事環境を最優先で滞在先を選び、予定をうまく組み立てられれば、ワーケーションは有意義な時間になります。
この記事では、仕事をしながら休暇を取るワーケーションについて、基本やメリットを徹底解説していきます。
ワーケーションにかかる費用や上手にこなすコツまで網羅していますので、これから国内や海外でワーケーションをしてみたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ワーケーションとは?仕事×休暇という新しい働き方
「そもそもワーケーションってなに?」という方のために、ざっくりワーケーションの基本について解説していきます。
ワーケーションとは?
ワーケーション(Workation)とは、「ワーク(Work)」と「バケーション(Vacation)」をかけ合わせて作られた言葉で、「旅先などで仕事をしながら休暇をとる」という働き方のことです。
会社のオフィスに出勤したり、自宅からリモートワークで働くという働き方から一度離れて、国内や海外の全く新しい、非日常的な環境で仕事をすることで、リフレッシュや生産性が向上するなどの効果があると言われています。
ワーケーションという働き方自体は、ノートパソコンやモバイル機器が普及した2000年代にアメリカで確立されたと言われていますが[1]、日本でも、働き方改革の一環や2020年の新型コロナウイルス拡大を機に国や地方自治体が、「オフィス以外での働き方」を推進したことをきっかけに、新しい働き方として広まりつつあります。
リモートワーク(テレワーク)との違い
「会社のオフィス以外の場所から働く」と聞いてイメージしやすいリモートワーク(テレワーク)とは、「休暇を過ごせるような環境から仕事をする」という点が異なります。
- 【リモートワーク(テレワーク)】:会社のオフィスで行っていた仕事を、自宅やコワーキングスペースなど、オフィス以外の仕事環境から仕事をする
- 【ワーケーション】:会社のオフィスで行っていた仕事を、国内や海外のリゾート地など、休暇を過ごせるような環境から仕事をする
リモートワーク(テレワーク)は、会社のオフィスで行っていた仕事をそのまま遠隔地から行うスタイルのため、どうしても「仕事をすること」に重きを置いたスタイルです。
対してワーケーションでは、仕事環境ももちろん重要ですが、仕事の前後の休暇(バケーション)・旅行の部分に重きを置いており、仕事をしながら、そのまま休暇をとることができるのが一番の特徴です。
つまり、ワーケーションはリモートワーク(テレワーク)の延長線上にありながら、非日常的な環境で仕事をすることが大きなポイントです。
具体的なワーケーションの例
ワーケーションにはさまざまなパターンがあり、仕事の環境を変えるために国内や海外で仕事をしたり、帰省先で仕事をしながら家族や子供たちと休暇を過ごしたりと、仕事をしながら思い思いの時間を過ごすことができます。
具体的に、ワーケーションなら以下のような働き方ができます。
- 普段住んでいる場所とは違う都市や地方へ移動し、仕事をする
- 海外へ一時的に拠点を移し、海外からリモートワークを行う
- 帰省先で仕事をしながら家族や子供と過ごす
- 実家のある地方へ戻り、仕事をしながら家族と過ごす
- 有給休暇を組み合わせてリゾート地や観光地で長期滞在し、平日は仕事をする
など
補助金などの取り組みも
2020年の新型コロナウイルス拡大を機に国や地方自治体が推進したことをきっかけに、全国各地の地方自治体などでは「ワーケーション補助金制度」が導入されるなど、ワーケーションを推進する取り組みも広がっています。
例えば北海道・富良野市では、「ワーケーション実証費用助成金」という取り組みが行われており、事前に申請すれば市内の宿泊費およびレンタカー利用料の一部を補助金として受け取ることができます。
このほかにも全国各地の地方自治体で同様の取り組みがあるので、ワーケーションをする前に、一度滞在先に補助金制度がないかを確認してみるのもおすすめです。
ワーケーションのメリット
一見すると、旅先などで仕事をしながら休暇をとるのは両立が難しく、仕事に集中できなさそうにも見えますが、実際にワーケーションをしてみると以下のようなメリットがあります。
- いつもと違う環境でリフレッシュができる
- 生産性・モチベーションが上がる
- 刺激から新たなアイデアも生まれやすい
それぞれを具体的に解説していきます。
いつもと違う環境でリフレッシュができる
会社のオフィスに出勤したり、自宅からリモートワークで働くというサイクルから一度離れることで、新鮮さを感じリフレッシュができるようになります。
毎日決まった時間に起床し、忙しない1日の中で会社のオフィスや自宅からリモートワークをしていると、決まったルーティンに沿った仕事の進め方になりがちなので、どうしてもリフレッシュするのが難しい部分があります。
ワーケーションなら仕事環境から自由に選べるので、
- 山や海などの自然に囲まれた環境
- リゾート地や観光地などの非日常的な環境
- 都会の中心地など、ビジネスを感じる環境
など、普段とは違う環境でリフレッシュしながら仕事を進められるのがポイントです。
生産性・モチベーションが上がる
ワーケーションは普段とは違う環境から仕事をするので、生産性やモチベーションが大きく上がります。
会社でのオフィスワークや、自宅からのリモートワークでは、日々感じられる感覚や景色が代わり映えしませんが、国内や海外の普段とは違う場所に身を置くことで高揚感を感じられるため、刺激を感じモチベーションが上がりやすくなります。
また、「旅先で仕事をしながら休暇をとる」というスタイルでは、仕事の前や後で観光などのレジャーやアクティビティを楽しむ必要があるため仕事を効率的に進める必要があり、必然的にスケジュールや時間を意識しながら仕事に取り組むようになります。
刺激から新たなアイデアも生まれやすい
ワーケーションでは、新たな刺激からアイデアやプランも生まれやすいです。
国内や海外を問わず、異なる環境で仕事に取り組んで見ると、ちょっとした日常の中で普段感じられないカルチャーに刺激を受けたり、滞在先での新たな出会いもあるため、刺激を感じ新たなアイデアも生まれやすくなります。
ビジネスアイデアはもちろんですが、普段とは違う生活を送ってみることが、今後のキャリアプランやライフプランを考える良いきっかけになるかもしれません。
ワーケーションのデメリットと注意点
刺激的なメリットを多く感じるワーケーションですが、
- 旅行が大前提のスタイルには向いていない
- Wi-Fiやデスクなどの仕事環境が異なる
- 会社の就業規則で禁止されている場合がある
などのデメリットもあります。
特に、リモートワークやテレワークに慣れていない人は、仕事の進め方や仕事環境にデメリットを感じやすいかもしれません。
それぞれを事前に把握しておくためにも、具体的に解説していきます。
旅行が大前提のスタイルには向いていない
ワーケーションは仕事をしながら休暇(バケーション)を取れるのが醍醐味とはいえ、仕事もしっかりとこなす必要があります。
仕事にも専念する必要があるので、「観光名所をまわる」「現地のローカルフードを食べ歩く」というような、1日の大半を旅行に割きながら仕事と両立するのは難しく、オンオフの切り替えができないと、かえって生産性が下がってしまいます。
リモートワーク(テレワーク)に慣れていない場合は、最初は仕事とプライベートの切り替え感覚を掴むのが難しいかもしれません。
Wi-Fiやデスクなどの仕事環境が異なる
ワーケーションでは、会社のオフィスや自宅などの仕事環境から離れられる反面で、滞在先のホテルなどのWi-Fi設備やデスク・チェアなどの仕事環境が整っていないケースもあります。
そもそもWi-Fiがない場合や、Wi-Fiの接続状態が悪くうまくPCやタブレットに繋がらない場合などは仕事を進めるのが難しくなりますし、デスクやチェアも普段とは違う環境なので疲れを感じやすくなり、生産性が下がってしまう可能性もあります。
ホテルなどの滞在先を選ぶ際は、事前に
- Wi-Fiは設置されているか
- Wi-Fiは一定以上の速度で接続できそうか
- デスクやチェアは仕事に集中できそうなものか
などを確認しておくのがよいでしょう。
会社の就業規則で禁止されている場合も
会社で勤めている場合に限りますが、ワーケーションをしたいと考えていても、会社の就業規則で禁止されていたり、仕組みとしてワーケーションができるようなフルリモート制度が用意されていない場合もあります。
会社によっては、
- 距離に関わらずフルリモートワークが推奨されている
- 一定以上のセキュリティ要件を満たす場合であればリモートOK
(個室で仕事をする、VPNを使用するなど)
という場合もあるので、事前に会社とよく確認しておくのがよいでしょう。
ワーケーションにはどれくらい費用がかかる?
「ワーケーション、してみたいけれどお金がかかりそう…」と感じている方のために、ワーケーションにかかる費用を解説していきます。
ワーケーションにかかる費用は人それぞれによってマチマチですが、「ワーケーションの1日のサイクルで、どれだけ仕事に振り切れるか」でざっくりとした費用が算出できます。
「いつもとは違う環境で仕事をすることだけでも楽しみ」と考える場合は、観光やアクティビティ、食費の費用がかからないので、その分低コストでワーケーションを始められますし、「休暇(バケーション)もしっかり楽しみたい」という場合には、その分旅費や食費がかかります。
具体的に目安などと合わせて解説していきます。
宿泊費
ワーケーションで最もコストがかかるのが宿泊費です。
宿泊費はどのような場所に滞在して仕事をするかで大きく変動し、例えばリゾートホテルや観光の中心地に滞在する場合は、その分宿泊費がかかる傾向にあります。
宿泊費を抑えるための方法としては、
- ビジネスホテルに宿泊する
- カプセルホテルなどに宿泊し、仕事はコワーキングスペースで行う
などの方法があります。
特にビジネスホテルは、Wi-Fiやデスク・チェアなどの仕事環境が整っているだけでなく、朝食の提供サービスやランドリーが設置されていてコストを抑えやすいほか、ビジネスホテルによっては「ワーケーションプラン」などの用意もあるため、コストを抑えやすいです。
先述したように、地方自治体が用意している「ワーケーション補助金制度」を活用すると宿泊費の一定額分が実質割引になるケースもあるため、そのような制度を活用するのもポイントです。
通信費
仕事環境のWi-Fi設備が整っていない場合、レンタルWi-Fiを用意するなどの対処が必要です。
仕事でインターネットへの接続が必要な場合はもちろん、打ち合わせなどでZoomなどを使用するWebミーティングを行う場合は通信量が増える傾向にあるため、安定的に接続ができるWi-Fiを確保しましょう。
レンタルWi-Fiは、1週間で¥3,000、1ヶ月程度のレンタルでも¥6,000前後でレンタルすることができます。
食費
ワーケーション中の食費は、自炊か外食どちらを中心とするかで大きく変動します。
滞在先にキッチンなどの環境がある場合や、ホテルの朝食などが無料提供される場合などは食費を抑えることができますが、
- キッチンなどの自炊環境がないので外食をする必要がある
- せっかくの休暇なので、仕事の後は美味しいものを食べてリフレッシュしたい
という場合は、食費が上がります。
目安としては、普段の私生活よりもやや食費がかかると見込んでおくのがよいでしょう。
交通費
ワーケーションの交通費は、滞在先の場所により大きく異なりますが、個人事業主などの場合は自費で負担する必要があるため注意が必要です。
目安としては最低でも、以下の金額感は見込んでおくのがよいでしょう。
- 【国内の場合】:¥30,000程度(往復)
- 【海外の場合】:¥60,000〜(往復)
なお、こちらの交通費も、地方自治体による「ワーケーション補助金制度」を活用すると、負担が軽減される場合もあります。
【必見】ワーケーションを上手にこなすコツ
- 「ワーケーションは意味がなさそう…」
- 「結局いつもと違う環境で生産性が下がりそう」
と感じている方のために、ワーケーションを上手にこなすコツを解説していきます。
ワーケーションを上手にこなすコツとしては、「仕事環境を最優先で滞在先を選び、予定をうまく組み立てること」です。
具体的に解説していきます。
仕事環境を最優先で滞在先を選ぶ
ワーケーションを上手にこなすために最も重要なのは、仕事環境を最優先で滞在先を選ぶことです。
山や海などの自然やリゾート地など、旅先としてのロケーションにこだわりすぎると、Wi-Fi設備やデスク・チェアなどの仕事環境が整っていない状況になり、生産性が下がってしまう可能性があります。
まずは仕事環境で必ず譲れないものをピックアップして、ワーケーション先として最適かどうかを見極めながら滞在先を探すようにしましょう。
環境を整えて長めに滞在する
ワーケーションで仕事の生産性を上げるためのコツは、できるだけ移動を減らし、1つの拠点に集中することです。
休暇(バケーション)を重視しすぎると、どうしても観光地やリゾート地をまわる移動が多いスケジュールになり、滞在先もコロコロ変わってしまいがちです。
滞在先が変わってしまうと、周囲の環境や仕事環境に慣れるまでに時間がかかり、仕事の生産性や効率が下がってしまいます。
仕事環境や生活環境(キッチンやランドリー設備など)をできるだけ整えて、1つの場所を拠点にワーケーションのプランを練るのがポイントです。
スケジュールをうまく組んで、オンオフを切り替える
ワーケーションは、オンオフの切り替えを意識したスケジュールを組み立てることで、リフレッシュがしやすくなり、仕事に集中できるようになります。
せっかくワーケーションのために普段とは違う都市や地方へ行くのなら、観光やアクティビティ、食べ歩きなども存分に楽しみたいところですが、仕事がある日はできるだけ普段の生活と同様のルーティンを心がけることで、オンオフの切り替えがしやすくなります。
- 観光や食べ歩きなどの旅行は、仕事の後にまとめる
- 平日は仕事に専念し、週末に現地での滞在を思いっきり楽しむ
- 平日に有給休暇を取得して、週末と組み合わせて長期休暇を取る
など、オンオフの切り替えを意識したスケジュールを組み立てることで、メリハリのある過ごし方ができるようになります。
ワーケーションは刺激を感じ生産性も上がる
ワーケーションの基本・メリットなどまとめ
- ワーケーションとは、「旅先などで仕事をしながら休暇をとる」働き方
- 非日常的な環境で仕事をすることで、リフレッシュになり生産性が上がる
- ワーケーション中にどれだけ仕事に振り切れるかで、費用は変わる
- 仕事環境を最優先で滞在先を選び、予定をうまく組み立てることがコツ
ワーケーションとは、「旅先などで仕事をしながら休暇をとる」という働き方です。
会社のオフィス勤務やリモートワークから一度離れて、国内や海外の普段とは違う非日常的な環境で仕事をすることでリフレッシュになり、生産性が向上します。
普段とは違う生活の中で仕事に取り組むことで、今後のキャリアプランやライフプランを考える良いきっかけになるかもしれません。